「過敏性腸症候群」 悩んでいる方が増えてます!
過敏性腸症候群(IBS)とはどんな病気か?
症状の原因となるような器質的(構造的・形状的)な異常を認めないにもかかわらず、蠕動運動といった消化管としての機能が損なわれる疾患を機能性消化管疾患(functional gastrointestinal disorders: FGIDs)と呼びます。過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome: IBS)は、大腸における機能性消化管障害の代表的な疾患です。
日本人での罹患率は14.2%(女性15.5%、男性12.9%)と言われております。年齢は20-40歳代に多く、加齢とともに低下する傾向にありますが、70代を超えると再び増加傾向にあると言われています。
IBSの症状は?
主な症状は、腹痛あるいは腹部不快感と、それに関連する便通異常(便秘や下痢)です。その他様々な消化器症状や精神症状などを伴う場合もあります。IBSの症状は、排便によって軽快もしくは軽減し、社会心理的ストレスで増悪するのが特徴です。
IBSの原因は?
IBSの成因は不明です。脳腸相関の異常、消化管運動異常、内臓の知覚過敏が関連していると考えられています。ストレスが病状に影響すると言われていますが、ストレスそのものが発症原因となっているのは10%程度とも言われています。最近では、細菌やウイルスによる感染性腸炎に罹患してから数ヶ月後にIBSを発症する場合があり(腸炎後IBS)、何らかの免疫異常が関与していると考えられています。
IBSの診断は?
IBSの診断に際しては、まず症状の原因となりそうな器質的疾患を除外することが必要です。血液検査、腹部単純X線、便潜血検査、消化管内視鏡など必要に応じて検査を行い、大腸癌、炎症性腸疾患などの病気がないことを確認します。その上で、以下のRomeⅣと呼ばれる診断基準に照らして診断されます。
RomeⅣ診断基準
-
- 最近3ヶ月間、月に4日以上腹痛が繰り返し起こっている。
- 次のうち2つ以上がある。
- 排便と症状が関連する
- 排便頻度の変化を伴う
- 便性状の変化を伴う
- 6ヶ月以上前から症状があり、最近3ヶ月間は上記基準を満たす。
便形状として便秘と下痢の頻度の割合から、便秘型、下痢型、混合型、分類不能型というサブタイプに分類されます。一般的には男性には下痢型IBSが、女性には便秘型IBSが多い傾向があります。
IBSの治療は?
まずは生活習慣の改善、食事療法、薬物療法を行います。規則正しい生活と十分な睡眠を心掛け、生活習慣の改善を図ります。食事は繊維質のものを多く取り炭水化物や脂質ばかりに偏らない食事にしましょう。香辛料、アルコール、コーヒーなどの刺激物の摂り過ぎにも注意が必要です。
薬物療法としては、高分子重合体(ポリカルボフィルカルシウム)や消化管運動機能調整薬、症状に応じて抗コリン薬(下痢型IBS)、下剤(便秘型IBS)を追加します。
これでも効果不十分な場合には、ストレスや心理面の問題を積極的に取り扱っていきます。うつ状態、強い不安症状を合併している場合には、向精神薬の併用や心理療法の追加も検討されます。
引用文献:「心身症の診断と治療」永田勝太郎 著
医師:本間洋州
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