腸のお話 *腸内細菌*
腸内には人の細胞よりはるかに多い細菌が生息している、とお伝えしました。そして、この腸内細菌が私たちの日々の健康に大きく寄与していることもよく知られています。
ヒトの腸管に生息する腸内細菌は腸内細菌叢や腸内フローラとよばれ、「善玉」、「悪玉」、その中間でもある「日和見」菌とに、大きく分けて3つで構成されています。
その3つの比率は2:1:7が理想的とか、重さは1.5~2Kgsにも相当するといわれる腸内細菌ってどんなもの? なのでしょうか。
細菌の種類とはたらき
- 「善玉菌」…乳酸菌、ビフィズス菌がこのグループに属します。食べ物の消化、吸収をたすける、ビタミンを産生する、消化管活動を活発にする、腸内を酸性に保ち食中毒菌や病原菌による感染予防で免疫をたかめる、また発がん性をもつ腐敗産物の産生抑制、などの働きがあるとされています。
- 「悪玉菌」…大腸菌、ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌などがこのグループにはいります。腸内腐敗をおこす、有害な物質や毒素を作り出す、その名の表す通り働きになっていますね。増殖すると厄介者扱いされます。
- 「日和見菌」…腸内フローラの最大グループ、善玉菌と悪玉菌のどちらにも加担。ひとたび腸内環境が悪化し、免疫力が下がったり、アルカリ性に傾いていくと悪玉菌にくっついて腸内で悪いはたらきをすることがわかっています。(ただし、この日和見菌、まだまだ分かっていないことが多いようです。)
腸内環境をチェックしてみる
腸内環境を整えることは細菌のバランスを整えることともいえます。
ご自分の腸内細菌がどんな状況か、のぞいて確かめることはできないのがもどかしいところではありますが、 チェックする方法としては、
1.毎日の便を流す前に色、匂い、かたちを観察してください。
便は身体からのお便りです。黄色っぽい茶色でバナナ状、匂いが臭いものがいい便、コロコロうんちやにおいがキツイものは要注意。
2.毎日の生活状況、この機会に確認してください
□甘い物、お菓子、ジャンクフードが好き、でよく食べる
□生活が不規則
□便秘がち
□手足の冷え
□外食が多い
□コンビニ食が多い
□甘い飲み物がすきでよく飲む
□睡眠時間が短めで、休日には寝だめする
- ☑マークが多いほど悪玉菌の割合が大きいと言えます。
健康な腸内環境をつくる2つの方法
腸内環境を整える!には、とても重要な役割を担っている食物繊維やオリゴ糖*などの「プレバイオティクス」を上手く取り入れていく食事が重要になります。(食物繊維、1日の摂取推奨量は約20g(女性は約18g)、それをクリアする目安は例えばブロッコリーで250g相当、大麦で200g相当になります)
善玉菌のエサとなり善玉菌を増やすことにつながります。
善玉菌の大きな利点は、繊維質豊富な食物を多くとることで、それをエサに「短鎖脂肪酸」を生成することです。
「短鎖脂肪酸」はナトリウムと水分の吸収を調整し、ミネラルの吸収力を高めます。
腸内のpHを下げ、病原菌や悪玉菌の成長を妨げ免疫機能を高めます。脂肪の蓄積を減らし肥満を防ぎ、血糖値の急上昇を抑えます。また脳内伝達物質「セロトニン」の分泌を促す働きもあります。腸のバリア機能を高め、食物アレルギーや炎症など様々な病気を防いでくれます。
2つ目は「プロバイオティクス」、生きた善玉菌を直接摂取することです。
食品では納豆、豆乳ヨーグルト、漬物などのビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を取ること、
ただし、これらの菌はある期間は生存しても腸内に住み着くことはできないと言われています。
よって日々の食事で続けて摂取、善玉菌を補填してあげている気持ちで食事をすることが大事になります。
(*オリゴ糖は急に摂取すると下痢やお腹の張りにつながることも、その場合は量や回数を調整して推奨量である一日2~10gまで徐々に到達するよう工夫してください)
逆に悪玉菌を増やしてしまう食生活は、
糖質過多、炭水化物過多、悪い脂質の取り過ぎ(かつなどの揚げ物、天ぷらを多くとる)
これらが中心となる食生活は腸内環境を悪化させてしまいます。
それに加え不規則な生活、ストレスの多い環境、便秘が続くなどは悪玉菌を増やす原因となります。
健康づくりの大きな一歩、毎日の便の観察、生活習慣の確認をして、自分の腸内環境が好ましいかどうか探ってみる、腸内の状態を知ろうとすることから。 そして、腸内細菌と上手く付き合う方法、自分に合う、ご自身の「腸活」をみつけることが大事です。
※参考文献
「腸内革命」 藤田紘一郎 ・ 「できる男はうんこがでかい」 藤田紘一郎
厚生省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
栄養コンサルタント 渡部喜美子
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