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ストレス社会でふえている全般性不安障害とは? 思わぬ原因にも注意!

<まずは、一般的な場合を記載し、その後で以外な盲点もつけたさせて頂きました。>

*不安障害とは

《不安障害》は、不安(anxiety)を主症状とするいくつかの精神疾患の総称です。不安障害の中には、《パニック障害》、《限局性恐怖症》、《社交不安症》、《全般性不安障害》などが含まれます。ここでは不安障害の中で《全般性不安障害》についてまとめてみます。

 

●全般性不安障害とは

《全般性不安障害(全般不安症)》Generalized Anxiety Disorder:GADは、仕事や学業などの日常的な多くの出来事または活動について、過剰な不安と心配(予期憂慮)が持続(DSM-5によれば少なくとも6ヶ月)し、これに伴って運動性緊張や自律神経症状などを呈する疾患です。

 そもそも不安や心配は、危機的状況に際して生じる健全な心理的反応といえます。病的な不安の場合、職業上、生活上に大きな問題を来しています。中でも《全般性不安障害》の患者さんが抱える不安は、その対象が広範かつ非現実的であり、長期間に渡って制御が困難なものとされています。

 

●全般性不安障害の疫学・原因・経過

日本における全般性不安障害の生涯有病率は1.8%です。発症年齢の中央値は30歳と、他の不安障害に比べますとやや高い値です。発症者の2/3が女性と、男女差を認めます。

 全般性不安障害の原因として、何らかの生物学的基盤の存在が疑われていますが、今のところ多くが未解明なままとなっています。

 全般性不安障害は気分障害、パニック障害などの不安障害、薬物依存など他の精神疾患の合併が多くみられます。全般性不安障害の多くは慢性の経過をたどり、残念ながら寛解する率は非常に低いと言われています。

 

●全般性不安障害の治療

有効な治療として、薬物療法と精神療法があります。

薬物療法

 薬物療法においては、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が第一選択で、必要に応じて即効性のあるベンゾジアゼピン系抗不安薬を用いるのが一般的です。SSRIやSNRIには、全般性不安障害に対する有効性を示すエビデンスが多数ある他、副作用が比較的少ないため長期投与に向いているといえます。

精神療法

 精神療法としてエビデンス上最も推奨されているのは、認知行動療法(CBT)です。全般性不安障害の患者さんは、不安そのものに対する偏った認知システムがあるために、過剰で非現実的な不安や身体症状をより増悪させていると考えられます。こうした不安は、回避したり無理に打ち消そうとしたりするとより偉大し、その結果悪循環を形成してしまいます。ですから、不安は適応的に生かし、目的本意な行動に繋げていくことが目的となります。

 最近のアメリカの研究では、認知行動療法には及ばないとしながらも、全般性不安障害患者の不安にヨガ(クンダリニーヨガ)が有効であるとする研究結果が出ました(Simon NM, et al. Efficacy of Yoga vs Cognitive Behavioral Therapy vs Stress Education for the Treatment of Generalized Anxiety Disorder: A Randomized Clinical Trial. JAMA Psychiatry. 2020 Aug 12.)。

 

※全般性不安障害の原因には、身体的な要因でも生じます!

なかなか様々なことへの不安が止まらない精神状態、ネガティブな思考パターンが繰り返される全般性不安障害ですが、甲状腺機能亢進症や低下症の際にも認められたり、腸内フローラの乱れ、リーキーガット症候群、食物アレルギー、有害重金属・化学物質などの体内蓄積などが原因になることもあります。これらの要因から生じる脳神経毒素が、脳神経細胞の炎症を招き、脳内神経伝達物質のバランスをくずします。その結果、不安、抑うつなどの感情や思考回路の混乱をまねくようになります。

上記のような、お薬やカウンセリングなどの治療で改善が少ないときや、発症契機が不明であったり、思い当たる不安要因もなく症状が長びく際には、上記のような原因も検討されることをお勧めします。

 

参考文献:

「今日の精神疾患治療指針 第2版」

「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」

 

医師:本間洋州

院長 佐久間一穂

 

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