ネガティブなことへの注目はうつ病のせい?
落ち込むと「自分はダメだ」と責め続けてしまったり、嫌な出来事を思い出すとグルグルと止まらなくなったりして、そうしたマイナス思考は「自分の性格が暗いからだ」と思っていませんか? それは、うつ病(抑うつ)が原因かもしれません。
うつ病は心の病気でもありますが、脳の病気でもあります。うつ病に関する研究で、うつ病患者はいったん否定的な感情や思考が起こると、数分・数時間の単位で長く持続しやすい傾向が分かっています。こうした傾向の原因として、偏桃体が過敏になり、持続して活動してしまうことも明らかとなっています。偏桃体は脳の側頭葉の内側の構造であり、脳内でも感情に関する刺激にもっとも早く反応する器官です。
また、私たちは日々の生活の中でさまざまな情報を取り入れ処理をしていますが、抑うつ状態になると、その情報処理も否定的に偏ってしまうことが分かっています。抑うつ状態になると、『暗い』『つまらない』などの否定的な形容詞に注意や意識が向きやすく、自分に関連付けやすくなってしまうのです。
このように、ネガティブなことにばかりに目や意識がいってしまうのは、自分の性格のせいではなく、うつ病、脳が抑うつ状態が原因かもしれません。この抑うつを改善する抗うつ剤も開発されています。「何だかマイナス思考が止まらない、体調も悪い…。」など、思い当たることがあったら、無理をせず専門医を受診することも大切です。
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