自律神経は、「交感神経」「副交感神経」という二つの神経からなっています。
脳内の視床下部という所に中枢があり、そこから全身の臓器や組織に神経線維を張りめぐらしています。
私たちの体は、気温の変化や精神的ストレスなど外からの刺激に対して、体内の状態を一定に保とうとする働き(ホメオスタシス)があります。
体温を一定に保ったり、食べたものを消化させたり、心拍の速度を調節したり、このような体の動きは、すべて私たちの「意志」とは関係なくコントロールされていて、この働きを担うのが「自律神経」で、すべての器官を調整しています。
自律神経は脳の「視床下部」というところでコントロールされています。
この視床下部は、本能的欲求や感情を司る「大脳辺縁系」によって支配され、さらに大脳辺縁系は、理性を生み出す「大脳新皮質」によって支配されています。
そのため、ストレスなどによって過剰な精神的疲労や身体的疲労が重なると、大脳新皮質が大脳辺縁系の働きを抑えてしまうため、食欲や睡眠欲などの本能的欲求が抑えられたり、感情が乏しくなってしまいます。 そして、これらのトラブルは視床下部の働きにも影響するため、自律神経のバランスが乱れて体にさまざまな症状を引き起こします。
自律神経は全身に影響を及ぼしているため、その乱れが生じると局所的のものから全身的なものまで様々な症状をきたします。
症状が初期であれば、規則的な生活、適切な休養や気分転換、十分な睡眠、程よい運動などを心がけ上手にストレスを解消していれば次第に軽快します。
しかし、ストレスが蓄積し、症状が慢性的となり固定化してしまっていたり、症状により生活に支障をきたす様な状態になっている場合には、自律神経症状を軽減する薬の処方や自律訓練法の指導、リラクゼーション治療、カウンセリングなどを行っています。
また、うつ病や不安障害、睡眠障害などにて自律神経失調症を呈している場合も多く、原因に応じて治療を選択しています。
※自律神経失調症と他の病気との関連
自律神経失調症は、過剰なストレス状態に対する体の警告反応ですから、放って置くと様々な心身症(例えば、高血圧、胃炎、糖尿病、不整脈、過敏性大腸症候群、過呼吸症候群、パニック障害、適応障害、うつ病など)にすすむ可能性が高く、場合によっては重篤な身体的疾患に発展することもありますし、精神的にも様々な不安障害やうつ病を併発することもあります。 他の病気と同様に、早期のうちに対処することがとても大切です。
心と身体の不調、症状の改善 / 自律神経検査、在宅睡眠検査